ダイエットってなに?⑧ ~ 悪役トランス脂肪酸とは ~
ダイエットってなに?⑧
~ 悪役トランス脂肪酸とは ~
悪玉とされるコレステロールも身体には一定量は必要な脂質の一つですが
近年、健康を害する悪玉として取り上げられるのがトランス脂肪酸です。
アメリカの州によっては使用が規制されていて日本でも一時期規制をとの声が上がっていました。コンビニのパンでも配慮しているとの表記のあるものもあります。
トランス脂肪酸とはなんなのでしょうか。
正常な脂肪酸はシス脂肪酸とよばれ、シスは「同じ」という意味で、トランスは「横切って」という意味で使われます。同じΩ9脂肪酸でもシス型は分子が曲がるのに対してトランス型は曲がらず不飽和脂肪酸と似た形で真っ直ぐになります。
本来植物性の脂肪酸は不飽和性で常温では固まらないことは以前にお伝えしましたが、その液状の油脂をマーガリンやショートニングの様な半固形化した油脂を作る際にトランス脂肪酸が出来ます。また通常の食用油でも熱処理でトランス脂肪酸が出来てしまいますし、そうでなくとも1〜1.5%程度が含まれるとされています。
次にショートニングとはなんでしょうか?
ショートニングは主に植物油を原料として水素を添加してトランス化させることでクリーム状に加工されます。見た目は柔らかいラードの様で、実際ラードの代用品として安価で品質も安定していることから広く利用されています。
料理に利用するとラードで調理したように時間が経ち冷めてもカリッとした触感を維持できるので作り置きするファストフードやお総菜、パンなどに使われる理由です。
ではトランス脂肪酸の何が問題なのでしょうか?
トランス脂肪酸を摂取する量に比例して血中の悪玉コレステロールが増え、逆に善玉コレステロールが減ってしまう作用が確認されていて、近年では血管壁で活性酸素を増やしてしまい動脈硬化を引き起こす可能性も指摘されています。
結果として心疾患のリスクを上げてしまいます。
ここまでの話を聞けば「トランス脂肪酸を禁止しろ」という意見にうなずいてしまう人も多いのではないでしょうか?人は人工的に造られたものに警戒感をもちやすいですい側面があります。
現状はどうなのでしょうか?日本人のトランス脂肪酸の摂取量は大学生を対象にした調査でもエネルギー摂取量の1%程度と欧米に比べてかなり低く、この程度ではコレステロールに影響はないとの結果もでています。
またΩ6系のリノール酸を摂取する事でトランス脂肪酸の血中コレステロールへの影響を押さえられるともされています。
他に牛などの反芻動物由来の脂質には3〜6%含まれていますが天然由来の場合は影響が無いという説もありまだ結論は得られていないのです。
ただしトランス脂肪酸の心疾患リスクの上昇は数十%なのに対して喫煙による心疾患リスクは数倍に増加するといわれていますので非喫煙者であっても副流煙のリスクなどの要因とあわせて考える事も必要かと思います。