~悪魔は身近に居て微笑む~ 悪魔の誘い生活習慣病①
悪魔の誘い生活習慣病①
~悪魔は身近に居て微笑む~
『天使にも似た悪魔ほど人を迷わすものはない。』とはウィリアム・シェイクスピアの言葉だそうです。
今回お話しする生活習慣病を予防や改善するためには心に刻むべき言葉です。人は甘い誘惑に弱いものです。覚醒剤等の麻薬を身を滅ぼす悪魔に例えられますが普段口にしている身近な食べ物の中にもそういった悪魔の囁きと呼べる甘美な物があります。
生活習慣病は以前は成人病と呼ばれていました。日本人の三大死因の癌、脳血管疾患、心疾患の中で脳血管疾患や心疾患の元となりうる動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などを生活習慣病であるとされています。三大死因の二つの原因にもなるのですから予備軍の方はもちろん、今は健康な方も生活習慣を振り返ってみていただきたいと思います。
以前にも書いていることと重複しますがおさらいも兼ねながら書いていきます。
人は糖質や脂質を食べると進化の過程で報酬として個人差はありますが快感を感じるように出来ています。甘いスイーツ、パン、コッテリしたラーメン…etc. こういった食べ物が大好きな方は少なくないでしょう。有名店には行列が出来ていますね…。またハンバーガーやフライドポテトを代表とするファストフードも人気がありる事からも砂糖や油が人を魅了することは基本的に間違いないようです。またこういった食品は食べることにより報酬として快感を得られ、麻薬と同じ様な中毒症状も起こし、絶つことにより禁断症状も起こします。これは大事なポイントとなります。特に砂糖などの糖質や小麦粉に含まれるグルテンに中毒性とその離脱症状が顕著となります。米がまだ主食といえる日本ではグルテンに関しては顕著な中毒は問題視されていませんが、小麦粉のパンを主食としている欧米ではアレルギーだけでなく中毒性も問題視されグルテンフリーの動きがあります。テレビ番組で日本の小麦粉を使わないお菓子を現地で食べてもらい、評価でグルテンフリーという言葉がよく出て来るぐらいです。砂糖もグルテンも共通してGI値がそれぞれに上白糖で99、食パン、フランスパンで95と非常に高い値です。GI値とはグルコース(ブドウ糖)を100として血糖値を上げる速度の目安とされます。ただし、低GI食品であっても血糖値の上昇を抑えてインスリンの分泌も抑えられることは出来ても糖質の総量としては同じになることは忘れては行けません。これによりその人の状態で対処が低GI食でいいのか低糖質食でいくのか私たちエフ・エル・アイでは食事等の指導が分かれていきます。
厚労省の統計では45歳以降で高血圧症、50歳以上で糖尿病、60歳以上で脂質異常症で傷病の上位を占めています。ちなみに脂質異常症とは高コレステロール血症等のことです。
それ以下の若い世代ほどアトピー性皮膚炎とうつ病などの心の病気が目立ちます。どの世代でも出て来るのが腰痛症です。
生活習慣病は若い頃からグルメと称した高糖質高脂肪な食事が限度を超えた結果といえます。ただし、同じ糖尿病でもⅠ型という先天的な疾患は生活習慣病ではないので、ここではⅡ型の後天的な疾患を指していきます。
砂糖だけでなく水でさえも無害ではなく、限度を超えて摂取したら人は死にます。空気でさえも全くの無害とは言えません。食事というのは大小に関わらずリスクは伴うものです。
生活習慣病とはある日突然ではなく、暴飲暴食など今までの悪い食生活の限界が主な原因となり中高年となって発症してくる疾患と考えることができます。
人は血液の血糖値、糖質の量が減ると空腹を感じ、食事をとることを脳が促してきます。この時の食事で糖質を摂取すれば血糖値も上がり、脳では快感を感じて空腹感も満たされることとなります。
糖質はスポーツ等の条件下では短時間、瞬発力の競技であるほど、パフォーマンスの発揮や維持などに重要なエネルギー源となります。ですが競技時間も長く瞬発力を必要としない競技ほど重要性は低くなっていく面もあります。
それは人の歴史は糖質に飢えた歴史でもあったからです。人のというか生物に置き換えても良いかもしれません。
特に人とその他の動物の絶対的な差はその進化した脳にあります。その脳の進化を支えたのが糖質ならば脳が糖質を欲するのは当然でしょう。脳は絶えず糖質を欲しがります。身体ではどうでしょうか?
糖質が足りなくなると主に二つの対応策が動き出します。
一つ目は肝臓や腎臓等でアミノ酸や脂質から糖質を合成します。これを糖新生と言います。
二つ目は脂肪をエネルギー源として代謝した際に生成されるケトン体です。ケトン体は脳を含めた体内で糖質の代わりとして代謝されます。ただし有効にケトン体を使うには身体をその条件下におかなければなりません。
人の体で糖質のみをエネルギー源と出来ないのはその他のエネルギー生産の方法を持たない赤血球のみで、脳でもケトン体をエネルギー源として利用できるので、糖質は絶対必要なエネルギー源とは言えない事は覚えておいてください。
人だけでなく生き物はその進化の歴史から限界はありますが飢餓に耐えるためにエネルギーを生産する複数のシステムを持っています。反対に飽食に耐えるシステムをまだ持ち合わせておらず、溜込むか排出するしかありません。ただし排出は担当する臓器に負担をかけるために長期にわたり負担をかけ続けると機能不全、または弱ったの状態となり健康を害し生活習慣病だけでなくの発症となるだけでなくアルツハイマーを引き起こす一因ともされています。
前置きが長くなってしまいました。本題は次回へ。
『酒は、人を魅了する悪魔である。うまい毒薬である。心地よい罪悪である。』
アウレリウス・アウグスティヌ